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『マクロプロス家の事』

昨日6月9日、日生劇場開場45周年記念特別公演『マクロプロス家の事(ヤナーチェク作曲)』の制作発表会に出席してきた(公演は本年11月20日~24日)。

ヤナーチェクのオペラといえば、『利口な女狐の物語』がまず思い浮かび、次に『イェヌーファ』が辛うじて何度か舞台にかけられている・・・という感じではないだろうか。『マクロプロス』は、題名は知っているけれど、舞台は観たことがない、という方が多いだろう。

その『マクロプロス家の事』を、日生劇場が開場45周年というメモリアル・イヤーを迎えるにあたって、「日本初演ではないが、オペラの舞台として可能な限り完璧を目指し(二期会・栗林義信氏)」、東京二期会と共に採り上げる。

『マクロプロス』といえば、2006年に東京交響楽団がセミ・ステージ方式で『マクロプロスの秘事』という題名のもと演った折に聴いているが、筋が少々分かりづらい、というか、(ネタばれになってしまうが)秘薬によって数百年生き永らえている、ということだけで謎解きとしてしまうのは、いささか筋立てとしては安易ではないか、と感じたことを覚えている。

その点に関して、今回演出の鈴木敬介氏も、カレル・チャペックの原作では「長生きをするとは、どういうことか」という問題が延々と語られているのに、ヤナーチェクがどうしてこの部分をカットしてしまったのか、かねてより疑問に思っていたとのことで、その点も含め、原作とじっくり比較検討した上で手掛ける、と語っていた。どのようなテーマが浮き彫りとなるのか、期待が高まる。

指揮のクリスティアン・アルミンクは、20代の頃にヤナーチェク・フィルを6年間指揮した経験から、「ライトモチーフ的な技法だけでなく、5小節も聴けばヤナーチェクのものだと判るほどユニークな(アルミンク氏・談)」ヤナーチェクの音楽に対する特別の思いを持っている由、どのような響きを紡ぎだすのか、とても楽しみだ。

なお、このオペラのタイトルだが、『マクロプロス事件』という邦訳が広く知られている。しかし今回は、原語の語義に忠実に、また聴衆に必要以上の予断を持たずに観てほしい、という考えから、『マクロプロス家の事』という日本語タイトルにしたそうだ。訳語の選択に頭を悩ませるのはドイツ語者の私とて日常のことなので、このスタンスには、作品に携わる立場としての誠意が感じられ、頭が下がる思いがした(2008/06/10)。

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コメント

こんにちは.興味深く拝見しています.
私も「マクロプロス」は,舞台でみたことはないもので,秋の公演を心待ちにしているところです.

ところで,東京では「女狐」よりも「イェヌーファ」のほうが上演機会が多かったと思います.個人的な印象ですが・・・・

近年でも二期会による,鮮烈な上演がありましたし,音楽的ドラマとしても,好きな作品です.「女狐」も可愛いですけれども(^^;

投稿: 堪えしのぶ | 2008年6月11日 (水) 11時43分

堪えしのぶさん、どうもありがとうございます。

そうですね、つい私自身が作品として認識した順に作品名を挙げてしまいましたが(^^;、でも、当日配布された資料によると、『女狐』と『イェヌーファ』の公演回数は同じ五回みたいです。ただし、『女狐』のほうの一回は関西二期会によるものですので、東京に限って言えば、おっしゃる通り『イェヌーファ』のほうが一回多いことになります(笑)。

夏のサイトウキネンでの『女狐』も楽しみです。

投稿: ウルズラ | 2008年6月11日 (水) 17時34分

お二人の馴れ合い的なやりとり、ようやるもんだという感じ。でもそれだけ余裕ができたのなら、まことに結構。ところで、この作者は、<サンショウウオ戦争>や<ロボット>の作者と同じですか?そうだとすれば、表面的な筋書き的な理解では、取り落としてしまうものがありそうな気がします。もっともわたし自身この作品は読んでいないので口はばったいことは言えませんけれど。
 ブーゲンビリアは、やや褐色がかった黄色でたくさん花をつけ、見事です。

投稿: スバル | 2008年6月18日 (水) 15時28分

こんにちは!
ばびゅ~んと飛んできましたよ♪
アナタらしいというか
むしろ私の知らなかったアナタというか
新しく出会うことができたような気がしてうれしいです。

私にとって日生劇場・オペラ・というと
どうしてもかつての劇団四季「オペラ座の怪人」になってしまうわ~
↑何度見に行ったか分かりません・・・

またお邪魔しますね~♪
お祝いコメさんきうでした!

投稿: parko | 2008年6月18日 (水) 16時57分

>>スバルさん

こちらでもコメント、どうもありがとうございます。

おっしゃる通り、カレル・チャペックは、「ロボット」の語を作り、『山椒魚戦争』でナチズムを批判、ゲシュタポから「チェコの第二の敵」と目された人物です。

私も『マクロプロス』は読んだことがなくて、『ダーシェンカ』くらいしかマトモに知らない不勉強者なのですが、音楽でどこまで表現に奥行きを持つことになっているのか、今度はそういうところも聴きたいと思っています。

ブーゲンビリア、お気に召してよかったです。

投稿: ウルズラ | 2008年6月19日 (木) 05時44分

>> parko さん

ようこそ! 来てくれて、どうもありがとう! 憧れの parko さんに、そんなことを言われると何か恥ずかしいわ~

『オペラ座の怪人』は、実際には観ませんでしたが、当時よくエキストラで行っていた東京電機大学のオーケストラの指揮者が、『オペラ座~』でも振っていた家田さんでした。その頃私が所属していたオケでも副指揮者だったので、結構よくお話をしました。って、関係ないか(笑)。

当ブログは、まぁ内容の性質上、月に1度来ていただけば、何か新しい記事がアップできているように頑張りたいと思います・・・(汗)。Parko Cafe とリンクさせてもらっても良いかしら? 

投稿: ウルズラ | 2008年6月19日 (木) 05時53分

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