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パリ国立オペラ『アリアーヌと青ひげ』

梅雨が明けて猛暑の続くなか、東京・渋谷のオーチャードホールまで、パリ国立オペラの『アリアーヌと青ひげ』(ポール・デュカス作)を聴きに行ってきた(7月23日)。

ポール・デュカスと言えば『魔法使いの弟子』くらいしか思い浮かばない浅学な私だが、音楽はとても楽しむことができた。ただ、それが正しい受容なのかどうかは心許ないのだが・・・

全く予備知識なしで行ったので、作品冒頭からアリアーヌが禁じられた鍵を使って、次々部屋を開けていくのには驚いた。有名な『青ひげ』のストーリーからしたら、いきなり種明かしをされてしまうようなものだ。しかも、青ひげ当人は殆ど出番がなく、最初のほうで少し歌ったきり、あとは最後のほうでボロボロになって登場するのみ。そのうえ、囚われた先妻たちを解放するべく乗り込んだアリアーヌの誘いに対して、彼女たちは「自らの意思で」青ひげの許に残ることを決意するのだから・・・・作品の内容に踏み込むようなことを述べようとしても、何と言ったらよいのか正直よくわからない。

休憩時間にロビーで、院生時代にお世話になったワーグナーとヴェルディに関する著作もおありのA先生に、何年かぶりでお会いした。A先生も、「ずいぶん予習してから来たんだけど、よくわからない話だよね。なんのための“解放”なのか、ってことになるし・・・」とおっしゃっていた。メーテルリンクの原作だということを考えると、「青い鳥は自分の家にいました」という落ちと通じる気もするが・・・

前半を聴いた音楽の私の印象は、「急に音楽的な緊張が解決するところなんて、ワーグナーの『トリスタン』みたいだなぁ」というものだったが、A先生も「予習の音源では、もう少し静かな感じの音楽かと思ったけれど、今日のはよく鳴らしていて、なんだかワーグナーみたいだね」と。ライトモチーフも使っているとのことだったが(A先生は譜面もかなり読み込んでいらした由)、全てを聴取することなど、初見(初聴?)の身にはとても無理だったものの、音楽面でも「ストーリーは振り出しに戻る」ということを示しているようだったから、それこそ「答えのない問い」だということなのだろうか。

お目当てだった、アリアーヌ役のデボラ・ポラスキは期待に違わぬ素晴らしい歌唱で、行方不明の先妻たちを解き放つ救世主のような役のイメージにもぴったりだった。プリュンヒルデとは、また一味違う「女騎士」然としていて、またひとつ広がりが出たようでファンとしては嬉しい限り。(2008/07/24)

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<日本初演/パリ国立オペラ初来日公演> 2008年7月19日(土)15:00/兵庫県立芸術文化センター 指揮/シルヴァン・カンブルラン パリ・ナチオナル・オペラ管弦楽団 パリ・ナチオナル・オペラ合唱団 演出・美術・衣装/アンナ・ヴィーブロック 照明/デヴィッド・フィン 映像/ティル・イグジット アリアーヌ/デボラ・ポラスキ 乳母/ジェイン・ヘンシェル 青髭/ウィラード・ホワイト セリゼット/ディアナ・アクセンティ イグレーヌ/イヴォナ・ソボトカ メリザンド/エレーヌ・ギルメット ベランジェール... [続きを読む]

受信: 2008年7月29日 (火) 05時30分

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