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新潟県音楽コンクール

最近新潟に縁がある。さらに、現在のGCOE上の論文指導教官をお願いしている先生が審査委員長でもあったことから、新潟県音楽コンクールを聴いてきた(7月27日/りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館)。

新潟県音楽界のレベルを向上させるために行われているという、このコンクールも今回で43回を数えるそうだ。歴代の審査委員長も、増沢健美氏、村田武雄氏、宇野功芳氏、金子建志氏と華やかだ(現在は平野昭氏で5年目)。

客席から聴いて感じたのは、確かに小学生や中学生にとっては大変に良い機会になっているのだな、ということだった。県規模のコンクールで、地元ということからも目標にしやすいだろうことは想像に難くない。実際、それくらいの年齢層に将来期待できそうな出場者が多かったように思う。しかし、コンクール終了後の講評で審査委員長が言っていたように、「まずは音楽を楽しんでください」という点になると、若いだけに、ひたむき過ぎる観もあり、少し可哀想なくらいだった。

「コンクールは、ひとつの区切られた期限の中で曲を仕上げるという点で、実力向上にはとても有効です。(平野昭氏)」というのは、疑いようのないことだし、そのことと「楽しむ」ということを両立させるのは、言うほど易しくないのだろう。ただ、演奏者当人よりも周りの大人のほうが必死に見えたのは、やはり何事かを語っているのだと思う。親と教師の協力が欠かせないのは十分承知の上だが・・・

コンクールそのものとは話がずれてしまうが、ひとつ、心に残る出来事があった。コンクール後の懇親会の席で、声楽部門の審査委員で新潟中央短期大学学長の先生とお話しさせて頂く機会を得たのだが、「シュトラウスとホフマンスタールのオペラで博士論文を準備中です」と申し上げると、まずはお喜びで励ましのお言葉をたくさん下さった。そしてその上で、「声楽を学ばずして、オペラを語ってはいけません」とおっしゃったのだ。ヴィオラとピアノを多少弾く経験から、実際にやるのとやらないのとでは、理解度に雲泥の差があることは十分すぎるくらいに分かる。もちろん、世の中には稀有な人がいて、そういう人は、何も演奏をやらないのに何故そこまで聴きとってしまうのか、というほどの透徹した耳と洞察力を持っているのだが、そういう人はあくまで例外的な存在なのであって、私のような凡人には、その先生のお言葉が本当に当てはまる。

さらに、その先生が「これから生き残るのは文学です」とおっしゃったのには少なからず驚いた。世の風潮も「実用」最優先で、本来世間の流行には左右されないはずの大学でも、「実学主義」とでも言える嵐が巻き起こって久しく、人文系がどんどん崩壊させられて冷や飯をくわされている身としては、どうも実感が湧かない。しかし、「齢を重ねて、もう一度何かを学び直したい、と思ったときに、経済や経営を学びたいと思いますか? そういうときに学びたいと思うのは、哲学も含めた文学なのですよ」と。大学の現状は、それとはどんどん逆の「経営最優先」という方向に流れているようにしか思えないのだが、やはり細々とでも、「アナクロ」「流行遅れ」とそしられようとも、今の研究活動を続けていこうという大きな励みになったのだった。

寺川先生、どうもありがとうございました。(2008/07/29)

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コメント

中学・高校とブラスバンド(中学ではクラリネット・高校ではパーカッション)だった私
夏休みといえばコンクールでした。
部員の少ない弱小部だったから、
全部のパートを奏でるには頭数が足りなくて
スコアを見ながらみんなして
「ここの音は君ね」
「え、そしたらブレスどこでしたらいいの~!?」と頭を悩ませながら練習してたな。
パーカッションに至っては
本番数日前によその学校から楽器をお借りするまでは
全部の楽器がそろわなくてエアーパーカッション(涙)
部員も予算も豊富なよその学校がうらやましくもあった一方
少ない人数でどれだけ幅のある音が表現できるかイロイロ考えたりして
結果、入賞できたときの感動は今でも宝物。
もちろん上の大会に行くほどではなかったけどね。

今、子どもたちの小学校の金管バンドなんかを見てると
確かに、あんまり楽しくなさそう。
大人の肩に力入りすぎてる感は否めないな。
指導教諭も、保護者もね。
でもそれって、音楽に限らないかも。
自分も含めて、今の大人は子どもたちに背負わせすぎかも知れないですね。

文学の時代がくるのね
心理はこないのかな
↑そっち方面のオンナです(笑)

投稿: parko | 2008年7月29日 (火) 20時24分

たしかにね・・・つい、わが子のことになると力入りまくり(笑)。ウチの怪獣の音の好みの良さは・・・とか、色彩のシュミの良さは・・・とかね(^^;;

でも、懇親会で審査委員長に挨拶にくるのは、本人よりも「必死な」親、なんですよ。。で、子どもの背をグイグイ押したりするんですが、うーん、何と言うか、親が挨拶すること自体が悪い行為だとは全然思わないんだけれど、審査委員長のカバン持ち(笑)をして間近でそれを見ていると、なんとも曰く言いがたい「~~~」な雰囲気が・・・

ま~、parko さんたら、やっぱりタダ者ではなかったのね・・・今まで接して知る部分だけでも「スーパー parko」さんだったのに、これにサイコロジストまで加わると「ウルトラ・スーパー parko」さんだわね。これからは「ウルトラの母」とお呼びいたしませう(違)。

心理だって、文学部だよね? 今だって、そしてこれからだって、ますます求められる分野だと思うけどな~。

・・・んでもって、やっぱ、実習のときに、バケツに脳みそ入れて運んだの?(←以前、語学学校で一緒のクラスだった心理学専攻の子から聞いた話)

投稿: ウルズラ | 2008年7月30日 (水) 12時39分

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