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加藤周一氏逝去

加藤周一氏が亡くなった。89歳ということで、「大往生」と言っても良いのだろうが、やはりショックだ。

私が加藤氏の文章に始めて接したのは、確か中学生か高校生の頃、現国の教科書でだった。教科書に採られた文章だから、ごく身近なことを例に挙げて論じられていたと記憶しているが、身近なだけに「そんな視点もあったのか!」とびっくりしたものだ。

広く浅いカタログ的な知識が重宝がられ、そういう知識とも言えないような薄い内容のものが新書になり、よりにもよってこういうものに限って「大好評」を博すような昨今、加藤氏のような真の評論家がいなくなってしまうのは、本当に残念だ。

もちろん、カタログ的なものが不要と言っているわけではない。実際、私も時として便利に使わせてもらうこともある。しかし、私が危惧するのは、そういうものをもてはやすあまりに、深い省察を「むずかしい」「しきいが高い」とコンプレックス丸出しのバッシングに近い語調で叩くような今の風潮だ。

世の中、「シロかクロか」で割り切れるほど単純ではないのに、「ものごとを好んでフクザツにしたがる輩を斬る!」的な煽動的なタイトルの本が売れているらしいのが、何とも気になる。

ある程度の地点に行くためには「むずかしさ」をクリアしなければならないのは当然なのに、その「当然」な手続きを面倒がっているのでは、「日本の偏差値」が低くなっても、それこそ当然のことだろう。余談だが、我が家ではついに新聞の購読をやめてしまった。あまりに低俗な週刊誌的文章しか読めなくなってしまったから。というより、読む価値のある所が見当たらなくなってしまったから、と言うのが正直なところだ。(2008/12/06)

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