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2009年3月

『私の血はインクでできているのよ』

Photo 久世番子著(講談社)のこの漫画は、久し振りにツボにハマってしまった。前作の『番線』(新書館)もかなり親近感を抱いたものだが、今回は「うんうん、あったあった」「みんな(?)そうだったのね~」とひとりごちながら一気読み(笑)。

何を隠そう、私も小学生の頃は「お絵かき少女」で、「なりたい職業」はズバリ「マンガ家」だった。それがどこで間違えたのか、今では絵ではなく言葉と音楽を相手に玉砕する日々・・・

しかし、手指の皮膚疾患でヴィオラを弾けない年月、ならばと思いデッサンを習い始めたせいか、また「お絵描き」魂が少し戻ってきている。きてはいるが・・・・やはり、元が本格デッサンではなくマンガお絵かき出身のせいか、今さらせっせとデッサンを描いても「芸術」に昇華させることなど、到底無理っぽいことも再確認している。

かと言って、それならばマンガ家にならなれそうなのか、と言えば「とんでもない!」。言うまでもなく、マンガは絵を描けさえすれば良いわけではない。ストーリーを創り、コマ割りをして話を進めなければならない。そんなこと、とてもではないが私にはできない。

と、ここまで考えて思い当たったのだが、実はマンガは、表現形態としてはオペラに似ているところがあるのではないか? どこまでをセリフ(言葉)で表現し、どこまでを絵(音楽)に任せるのか? コマ割りなど、まるで演出ではないか(少々牽強付会か)。

絵を描くのは好きだけれど、美術にもなれず、漫画にもなれず。そんなどっちつかずの我が身は、高校の美術部で部長をしていながら美大ではなくマンガ家への道を突き進んだこの「番子さん」キャラクターに非常にシンパシーを感じてしまう。いや、番子さんは立派に漫画家として立っていらっしゃるのだから、どちらにもなれない自分と一緒にしてしまうのは失礼極まりないのだが・・・

それにしても、「おひめさまを描く練習」「バレリーナを描く練習」「金髪にバラを描く練習」(いずれも本書より)・・・・ええ、毎日励んでいましたとも。あの日々を思い久々に手帳の片隅にボールペンで「オスカル様」と「アントワネット様」を描いてしまった。受験期でも大学ノートは落書きだらけ、、というあたりも、身に覚えがありすぎて・・・・・typhoon  

番子さん、願わくは『太宰治の「富嶽百景」のまんが』(本書77ページ)を世に送り出してください!fuji (2009/03/23)

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敬愛する師匠たち

春は出会いと別れの季節。2月最後の週は、(出会いと別ればかり、というわけではないのだが)師匠関係のイベントが重なり、それに関連して思い出すことなどもあって、今回のタイトルとなった次第。

イベントの一つは、不義理し通し(汗)のヴィオラの師匠の演奏会に久し振りに出かけた。今回は、師匠が代々木上原のムジカーザで企画している『室内楽工房』ではなくて、東京エラート室内管弦楽団の演奏会でモーツァルトの協奏交響曲のソリストとして出演なさっていた。ここのところ、子どもが熱を出したり私自身が体調を崩したりで、『室内楽工房』に行けないことが多かったので、師匠の音を聴くのは久し振りだった。

相変わらず「超」がつくほど美しいボーイングで、深くて暖かい音。根っからのアンサンブル好きの師匠、ヴァイオリンと共に紡ぎ出すこの曲のソロはとてもお似合いだと思ったし、(失礼な物言いだけれど)心底惚れ込んだ人を「師匠」と仰ぐことのできる幸せを再認識した。

そういえば、モーツァルトの協奏交響曲にはちょっとばかり思い出もある。もう何年前になるか正確には憶えていないが、とある年の夏休みに、現在のGCOE上の論文指導教授である音楽学の師匠の家に何人かで遊びにお邪魔した際に、慶應の後輩がヴァイオリン、不肖私がヴィオラを弾き、この師匠に(恐れ多くも??)ピアノでオケ伴をして頂いたことがあるのだ。ヴァイオリンの子とは事前に何度か打ち合わせ、もちろん音合わせもして、楽しかった。何だかとても懐かしい。

ちなみに、この音楽学の師匠と先のヴィオラの師匠は同じ年でいらっしゃる。お二人とも、それぞれ別々に、私に対して『オレはR.シュトラウスが死んだ年に生まれたんだぞ!』と自慢なさったことがある。正直「So what?」てなところだが、何ともチャーミングなお二人であるdash (・・・そういえば、私の父は『お父さんは、ホフマンスタールが死んだ年に生まれたんだぞ』と自慢していた・・・impact

そしていま一つ印象的だったイベントは、恩師の最終講義だ。H先生はドイツ哲学がご専門で、てっきりドイツ神秘主義が何かの講義をなさるのかと思っていたのだが、「<身近な死>をめぐって」という題目で、とても奥深いお話しだった。あまりに深く、重みもあったために、私のような者にはここでまとめることはとてもできないのだが、講義後の記念パーティーで、メメント・モリについて先生と少しお話しをすることができた。

また、この最終講義会場で、私がもっとも尊敬する先生に久し振りにお会いできた。腰がお悪く杖こそついておられたが、顔色も良くお元気そうで、本当に嬉しかった。

私自身はとてもちっぽけな存在だが、師には本当に恵まれている。ここにご登場願っていない先生方にも、抱えきれないほどの恩恵を頂いている。それを、どこかに還元できるほどの才覚を持ち合わせていないのが、なんとも情けないのだが・・・・(2009/03/01)

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