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永井一郎氏逝去

声優の永井一郎さんがお亡くなりになりました。ショックです。声優としての声に馴染んでいたのはもちろん、永井さんが新潮文庫から出している『朗読のススメ』は、私の朗読のバイブルです。

世の中にはけっこう立派な「朗読検定のための教科書」のようなものが出ているのですが、パラパラと眺めてみるとテクニック偏重で肝腎の解釈に至っているものはなく、従って「表現」に到達できないだろうものが殆どの中、永井さんの本は、エッセイのように読みやすい文章でありながら、深い経験と考察に裏打ちされた、鋭い指摘に満ちています。

京都大学でフランス文学を “学問” として修めた方だけに、その指摘やテクストの捉え方には共感するところ大です。表現者としては、やはり読書感想文レベルの接し方ではいけないのだと、その厳しさすら教えられました。

単に「ノリ」や「好き」なだけでは、自己満足というだけで人に伝わりません。その辺りのことも、この本ではやんわり穏やかに、でも厳しく、繰り返し述べておられます。こういう厳しさこそ、誠実ということであり本当の優しさなのだと、しみじみ思います。

密かに心の師と仰いでいたので哀しいですが、82歳で、前日まで仕事をなさり、夕食をとり、ホテルの部屋に入って・・・。生涯現役を貫かれたことは、素晴らしいことと思います。ご本人にとっても、きっと幸せなことだったのだと信じます。

心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
(2014/01/28)

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