« 私のヴィオラ遍歴(其の九) | トップページ | 私のヴィオラ遍歴(其の拾壱) »

私のヴィオラ遍歴(其の拾)




そのようにJKと再会を果たした後、彼の反応が心に引っかかっていながらも、やはり楽器ケースを開けることなく、半年以上が過ぎました。

しかし振り返ってみると、そのJKとの再会以来、確実に「何か」が動き始めていたとしか思えません。一昨年の6月のことです。JKから話を聞いて連絡を取ってみたところ、私の一代下でホルンを吹いていたDと実はもう何年もニアミスをしていたことが判り、Dがインスペクターを務めるKフィルの第一回定期演奏会を聴きに行くことにしました。お気楽に、純粋に楽しむためだけに出掛けたのでしたが、開演直後から私の内部で異変(笑)が起き始めました。

もちろん、アマオケですし、第一回の定期演奏会でしたので、とても若いオケです。技術のことだけを言えば、まあ首都圏にはいくらももっと器用に大曲を弾きこなすアマオケは数多存在することでしょう。でも、Kフィルは、そういう器用貧乏(失礼)なアマオケが置き去りにしてしまっている「アマオケ魂」とでもいうものを熱く持っていると感じました。「音楽が好き」「アンサンブルを大切にしたい」という意気込みがビンビン伝わってきて、背中から腕から、もうビリビリ・ゾクゾクしっぱなしになったのです。終演後、これも20年以上ぶりに、見違えるほどホルンの上手くなったDとも再会し、このKフィルの持つ雰囲気は懐かしい大学オケに通じることに思い当たりました。

そして、6月の末です。JKのいるY響の東京公演に行きました。この時のメインはブラームスの交響曲第2番。この曲がまた因縁深い曲で、私が執行学年の、つまり大学3年の冬の定演のメインだったのです。あの時はJKは確か1stヴァイオリンでした。JKが自在に操るボウイングを見つめながら、本当に立派なヴィオラ奏者になったのだなと、歳月の流れを感じたものです。そしてY響の響きも(陳腐な表現ですが)本当に素晴らしく、これはもうホームグラウンドまで聴きに行くしかない!と思わせる演奏でした。

この6月中の体験を経て、ついに「またヴィオラを弾こう」と思うに至ったのでしたが、冗談抜きで6年以上、ただの一度もケースを開けずにきたのです。黴が生えているかも知れないし、まず弦は切れているだろう、もし全部切れていたら当然駒も倒れているだろうし、そうなると魂柱も危ない・・・。そんな怖い想像が押し寄せ、一人でケースを開けることがどうしてもできず、「一緒に見届けろ!」とわけの分からない命令をして相方に横にいてもらい、やっとの思いで開けたヘタレっぷり(苦笑)。

そして開けた時の様子が、写真です。調弦は少し狂っていたものの、弦も一本も切れておらず、黴も生えず割れもありませんでした(涙)。しかしながら、一見したところダメージは少ないように見えても、弦楽器工房に持って行ったところ一週間の入院を言い渡されました。ちょちょいと調整してその日のうちに持ち帰り、すぐにでも音出しができるとルンルンで行ったのですが、その期待も虚しく手ブラで独り寂しく帰路に就いたのでした。(続く)

(2014/03/01)

|

« 私のヴィオラ遍歴(其の九) | トップページ | 私のヴィオラ遍歴(其の拾壱) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/512718/59220621

この記事へのトラックバック一覧です: 私のヴィオラ遍歴(其の拾):

« 私のヴィオラ遍歴(其の九) | トップページ | 私のヴィオラ遍歴(其の拾壱) »